食品が安全でなかった場合の4つの損害（Part 1）｜ITO Thailand Hygiene Blog｜食品工場での衛生管理にお悩みならITO Thailandへ

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Feb 06 2023

食品が安全でなかった場合の4つの損害（Part 1）

食品が安全でなかった場合の4つの損害（Part 1）

1.品質面のリスク

消費者が安全でない食品を摂取した場合、様々な健康への危害が発生することがあります。

物理的危害

食品によく見られる物理的危害は、消化器系を傷つける硬い物や尖った物です（続きを読む：物理的危害、及び、予防と検査）。これは頻繁・突発的に発生する危害で、たとえば、金たわしの屑の混入した食品を摂取して緊急手術が必要となった重大なケースもあり[1]、また、魚の骨が喉にひっかかると深く刺さったり細菌感染を引き起こしたりする恐れもあり[2]、米飯に混入した砂利を噛んで歯が欠けたケース[3]などもあります。

化学的危害

化学的危害による食品汚染は、原材料の汚染により発生することがあります。これにはたとえば、動物中のホルモン、殺虫剤、水中の重金属、所定の量を超えた食品添加物や添加剤・防腐剤などがあり、また、誤った混合により食品の一部分に安全レベルを超える化学物質が含まれてしまうこともあります。さらに、品質調整のために漂白剤やホルマリンなど禁止物質や危険物質が添加されたり、製造工程で発生する化学物質があったりもします。高熱で加熱した食品に褐色物質の発生するメイラード反応（Maillard reaction）によるアクリルアミド系の発癌性物質や、天ぷら油を高温で繰り返し使用した場合に発生するトランス脂肪などです。それだけでなく、洗剤、潤滑剤、消毒液、有害生物（ネズミ、虫）の駆除剤、燃料等、食品製造場所で使用されるその他の化学物質も食品への混入のリスクがあります。続きを読む

化学的危害のある食品を摂取した場合に起こる身体的な症状については、一度に大量の有毒物質を摂取すると、頭痛・めまい、吐き気、腹痛、嘔吐、かすみ目、だるさ、下痢などの症状が突発的に発生することがあります。有毒物質を大量に摂取してしまうと、内臓に疾患が起こったり死亡したりすることもあり得ます。また、長期にわたって蓄積され、癌、水銀による水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病などの危害を及ぼすこともあります。他、抗生物質汚染のある食肉を摂取することで薬剤耐性ができてしまうこともあります。

現在では、食品中の化学物質汚染のニュースがしばしば見られるようになっています。たとえば、干しイカのカドミウム汚染[4]、ミカンの残留化学物質[5]がありますが、冷凍赤トウガラシに基準値を超えるトリアゾホス（Triazophos）が残留していたケースでは、それが原因で日本がタイから輸入する製品の化学物質抜き取り検査のレベルが30%に引き上げられました[6]。また、アイスクリーム中に発癌性物質（2-Chloroethanol）が検出されるケースでは、多くの国々で製品リコールを余儀なくされています[7]。

生物学的危害

生物学的危害は、微生物や、微生物の有毒物質により発生することがあります。これは、原材料に所定量を超える微生物の汚染があった等、製品の製造工程が適正衛生規範に従っていなかった場合や、洗浄、加熱、遊離水の除去、酸性度の追加といった微生物量を減らす工程にミスがあったり、十分な有効性がなかったりした場合に見られます。微生物の汚染には、原材料から製品への二次汚染、従業員からの汚染、その他環境からの汚染があり、下痢や胃の不快感といった消費者の健康への些少の影響から、ショックなど重大な症状、さらに死に至ることもあります。広域な被害をもたらす集団食中毒（outbreak）となることもあります。

不衛生な食品や不潔な原材料を摂取することによる腹痛・下痢など、生物学的危害の問題は誰しも遭遇したことがあると思います。これは媒介生物の接触による場合もあり、全国レベルの大ニュースとなった例としては、2021年12月にチャンタブリー県で多数の市民がノロウイルスの汚染による下痢を発症したケースがあります[8]。また、2022年の初め、アメリカ合衆国でクロノバクター（Cronobacter）属の菌による汚染が発見されたために乳児4人が感染、2人が死亡する事態となり、乳児用調整粉乳の工場が閉鎖され、アメリカ国内で調製粉乳が不足するという危機が発生しました[9]。

アレルゲンの危害

アレルゲンの危害は、食品に含まれる一部の種類のタンパク質に敏感な消費者に起こります。化学的危害とみなされることもありますが、違いとして、化学的危害は誰にとっても危害となるものである一方、アレルゲンの危害はその物質にアレルギーがある人だけに危害を及ぼすものとなります。この危害に関する詳細は「アレルゲン」の項目をお読み下さい。

2.組織の名声・信頼性の損失

食品の汚染が消費者に危害を及ぼしたり、汚染（毛髪、虫、異物等による汚染）が発見されたりした時、食品製造業者は被害の責任を負わなければなりません。また、消費者が訴えを起こす可能性もありますし、発見されたものがオンラインプラットフォーム上に投稿されれば、噂はすぐに拡散してしまいます。危害が広範囲に及んだ場合や重大だった場合は、さらに広くその重大性が拡散されるため、組織にとっては、長期的な信頼性に影響してしまいます。

それだけでなく、輸出基準に不適合となる汚染が発見された場合、輸出先の国家における輸入タイ製品に対する信頼度に影響が生じる可能性があり、検査が強化されたり、その国からの製品輸入が禁止されたりすることがあります。タイから日本[6]及びイギリス[10]への輸出赤トウガラシについて、基準値を超える駆除剤の汚染が発見されたため、検査が強化されたというのがその例となります。

—つづく–