ITO Thailand Hygiene Blog

Jan 14 2022

交差汚染(Cross-contamination)

交差汚染とは?どう重要?

もともと、食品には、物理的(physical)、化学的(chemical)、生物学的(biological)という3種類の危害要因(ハザード)がありますが、現在、アレルゲン(allergen)汚染が第4の危害要因に追加されています。

この交差汚染は、原材料(農業、畜産、漁業など)の生産、原材料の収穫、原材料の輸送と保管、食品の生産、食品の保管と輸送から、消費者による調理に至るまで、食品サプライチェーンのあらゆる段階で起こる可能性があります。 これには、作業員の衛生状態が悪いことによる毛髪の食品への混入、適切なメンテナンス 不足による機器からのごみの混入、原材料の殺虫剤やホルモン汚染、大気中の粉塵汚染、 工業用水の重金属汚染などの直接汚染もあれば、意図せずして様々なキャリアを介し、病原性微生物やアレルゲンなど、不衛生な食品から偶発的に「交差」汚染が起こり、清潔な食品を汚染して食品媒介性疾患を引き起こす可能性もあるのです。

交差汚染は、食品媒介性疾患の主な原因の1つであることから、食品安全基準では、食品媒介性疾患のリスクとハザードを減らすべく、交差汚染の管理に重きを置いています。それは細菌性および真菌性胞子など、微生物菌、特に病原性微生物により汚染される可能性があるもので、現在、高度衛生管理Good Hygiene Practices (GHP)基準に、管理と監視が必要な交差汚染の1つとして、アレルゲンフリー食品へのタンパク質アレルゲン汚染が追加されています。

サルモネラ菌Salmonella、大腸菌E. Coli、クロストリジウム(Clostridium)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、リステリア(Listeria)およびカンピロバクター(Campylobacter) などの細菌群、A型肝炎などのウイルス、アスペルギルス(Aspergillus)などの真菌における病原性微生物の汚染は、食品中に生物学的危害要因のリスクを引き起こします。これに ついては、米国農務省直属組織である食品安全検査サービスFood Safety and Inspection Service (FSIS) が2019年、これらの菌に汚染された製品20点をリコールすることを発表したことで[2]、企業は、商品のリコールと破棄費用の負担に加え、企業に対するイメージと信頼も失うことになりました。

交差汚染のキャリアと管理

交差汚染の発生源は、微生物菌、真菌、アレルゲンなどを持ち、既に汚染された原材料や 食品によるもので、直接または以下のようにキャリアを介し、他の食品に伝染する可能性があります。

  • 食品から食品 

生の食品から調理済み食品への微生物菌の汚染、またはアレルゲンを含んだ原材料からアレルゲンフリー食品へのアレルゲンの汚染は、直接的な汚染です。例えば、サラダ やナムプリックの付け合わせ野菜に、微生物菌に汚染された野菜を入れれば、他の野菜にも微生物菌が汚染するかもしれませんし、生卵を他の食品と一緒に保管すれば、卵の殻から 食品に微生物が汚染するかもしれません。あるいは、微生物が繁殖している可能性のある 古い食品を新しい食品を一緒に保管することも同様に、微生物が新しい食品に交差汚染する可能性があります。

 

その管理は、殺菌または調理済み食品は清潔な状態でなければならないという点に重きを置き、食品保管と製造のゾーニング、加熱ゾーンと生ゾーンの区別により行うことが可能です。

 

包装、清潔なパッケージ、清潔な状態での包装作業については、作業員が、洗浄 工程を経て十分衛生的な状態であること、 古い原材料と製品、新しい原材料と製品を別々に保管することが必要です。そのためには、先入先出(FIFO:First-in First-out )に基づく 商品倉庫管理の原則を用いて、微生物が繁殖している可能性のある古い食品を先に使用し、入庫した新しい食品と混合しないようにします。アレルゲン汚染防止については、アレル  ゲンを含む原材料および製品の製造と保管を分けることが、交差汚染を防止する主な方法となりますが、同一製造部門を使用する必要がある場合には、特に、表面、機械機器から食品へのキャリアを介した交差汚染を防止するため、洗浄に注意を払わなければなりません。

  • 表面、機械、機器から食品

表面、機械、機器といったキャリアから食品への交差汚染は、生の食品やアレル  ゲンからの間接的な汚染が見つかる主な経路となっています。微生物やアレルゲンは、機械機器の隅に付着している可能性があるため、機械機器の定期的な洗浄や消毒、ならびに頻繁に接触する表面に注意する必要があります。また、食品製造備品(包丁、まな板、作業台など)と清掃道具(ほうき、モップ、磨きブラシ、台拭きなど)を、色カラーコードで備品別にするなどして、生モノと調理済み品、アレルゲン含有ゾーン間で分けることも同様に、交差汚染防止の一つの方法です。

  • 人から食品

人から食品への交差汚染は、備品表面から食品への汚染に似ています。つまり、 人を食品に触れた表面だとして、洗浄や消毒がされていない、汚染された食品と清潔な食品に触れた場合、汚染物質を、清潔な食品に持ち込むことが可能になるのです。最善の方法は、食品製造ゾーンに入る前の手洗いや靴の洗浄、服の着替えなどの洗浄と消毒を行うこと、 あるいは汚染の可能性を減らし、清掃を容易にするために共有備品には手袋を使用することです。

 

交差汚染防止は、食品媒介性疾患の発症リスクに対し脆弱であるため、食品事業者が家庭および食品業界のいずれにおいても、非常に真剣に取り組まなければならない食品 安全の重要な核心の1つであるとまとめることができます。これを、汚染されている食品と汚染されていない食品の区別、手洗い、備品や機械機器類の定期的な洗浄と消毒という防止策により行うことで、消費者にとって最大の食品安全を確保することができるのです。

Related Post