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Jul 24 2023

Carbon footprint

            地球温暖化、自然災害、資源不足……。食品産業に携わる者として、どのような問題の防止・解決への協力ができるでしょうか。

            現在の自然に関する問題として、頻発する森林火災、洪水、気候変動などがあり、動植物の生息や行動にも影響を及ぼしていますが、その原因の一つは、地球上の平均気温の上昇にあります。極地の氷の融解が進み、空気や風の温度、湿度が変化しています。地球の温度上昇に影響を主な要因の一つは、二酸化炭素、メタンガス、CFC(クロロフルオロカーボン)、その他、赤外線を吸収して地上に放出する様々な種類の温室効果ガスです。これらのガスの量が増えてしまうと、温室効果が生じ、地表の温度が上昇して、気候や地球上の生き物に影響を及ぼしてしまうのです。

UNFCCCと温室効果ガス排出削減

            上に述べた気温変動の問題を受け、国連では、気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change : UNFCCC)の名の下、気候問題の監視のための交渉の場を設定し、加盟国における合意を構築することで、問題解決及び影響低減の指針を規定しています。これは、地球温暖化を抑制するための温室効果ガスの排出量の管理を目的とし、カーボンフットプリントの形式での表示を求めるものとなっています。

カーボンフットプリントとは

            温室効果ガス管理機構(Thailand Greenhouse Gas Management Organizaton : TGO) (1) によると、「『カーボンフットプリント』とは、原材料の取得から製造 / 組立工程、流通、使用、耐用期限終了後の廃棄物処理まで、関連する輸送を含む製品のライフサイクルを通じて、一個の製品から排出される温室効果ガスの量をグラム、キログラム、又は二酸化炭素換算トン単位で計算したものをいう」と定義されています。すなわち、カーボンフットプリントとは、その製品の原材料取得から製造、輸送、廃棄物処理までのサプライチェーン全体における温室効果ガスの排出について表示したものということになります。これは現在、組織のポジショニングを示すものとなっており、また、製品の持続可能性に関する消費者への情報提供を行うものとして、国際的な競争力を高めるものとなっています。

カーボンフットプリントに関する方策

            現在、一部の国家では、温室効果ガス量の削減目標を達成するための法的手段  (2) が講じられ始めています。たとえば、メキシコでは、温室効果ガス排出量取引に関する方策、MRV(Measurement reporting and verification、温室効果ガス量の情報収集、報告、及び検証)の制度適用に関する法令、及び、環境税に関する方策もあります。イギリスでは、温室効果ガス排出量取引制度(EU ETS)の方策を講じており、取得した権利が不十分だった場合は炭素市場(カーボンマーケット)で権利を購入しなければならないため、炭素排出権(カーボンクレジット)取引のビジネスが興隆しています。

タイ国の役割

            タイ国も国連の一加盟国であり、地球の平均気温を摂氏2度以下に制御するためのパリ協定(Paris agreement)に合意しています。ここでは、2030年までに温室効果ガスを20%低減するという目標が設定されています(3) 。これについて、内閣では、温室効果ガス削減の実施目標を3段階に分けて策定しています。すなわち、計画の第1段階は国家戦略であり、計画の第2段階は国家戦略の下のマスタープラン及び国家経済・社会開発計画であり、計画の第3段階は温室効果ガス削減実施計画となっています。

            現在のところ、溶滓(clinker)代替の方策、冷媒代替 / 変更の方策、産業排水処理の方策などの温室効果ガス削減の方策が策定されています。排出権取引の制度については、温室効果ガス管理機構により自主的なものとして行われています。

            現在では、持続可能性を重視する民間企業も多くなり、組織の方針を転換し、持続可能性とカーボンフットプリントを考慮した製造を行うようにもなってきました。たとえば、より持続可能な製品設計、カーボンフットプリントの排出低減(輸送距離が短くなるよう原材料の産地を変更、温室効果ガスを排出する原材料が少なくなるよう種類を変更、より重ねやすく軽い・輸送しやすい・リサイクル可能なパッケージの設計)、エネルギー使用を削減した・エネルギー使用を効率化した新製造工程、廃棄物量の削減、エネルギー節減方針、Refill stationやパッケージの返却といったマーケティング方針などとなっています。

References

1.http://thaicarbonlabel.tgo.or.th/

2.スパウィー・クロットスア『火力発電所からの温室効果ガス排出削減推進における法的手段』The Journal of Law, Public Administration and Social Science Vol.3 No.1, 2019

3.https://climate.onep.go.th/wp-content/uploads/2021/09/NDC_Action_Plan_IPPUInd-WW_sector.pdf

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