ITO Thailand Hygiene Blog
6 important hygienic designs for food industry
食品産業にとって衛生的な設計は、法令、基準、製造許可証申請の側面において、また、消費者、社会への責任という意味で大変重要なことです。食品が安全で持続可能性のある社会のため、今回、ITO Thailandでは、食品工場の設計から既存の旧システムの改善までにおいて衛生面で配慮しなければならない6原則をご紹介します。
»立地計画(Location planning)
食品製造場所の立地は大変重要なものです。一般には原材料の産地に近いことや商品輸送の便が重視されますが、もう一つよく考えなければならないことは、厩舎やごみ捨て場、化学工場、煙の発生源といった汚染や危険を発生させる場所、洪水になりやすい水域から離れているということです。
»建設設計(Construction design)
食品製造場所は、適切な設計がされなければなりません。まとめると以下の通りとなります。
•製造エリアで使用する器具・機器は、食品にとって安全で、洗浄・清掃しやすく、耐腐食性があり、微生物や媒介生物の溜まり場とならず、水溜まりができないこと。
•リスクの高いゾーンと低いゾーンを分けること(続きを読む)。また、エリアを適切に仕切ること。空気の循環、及び、高リスクエリアから低リスクエリアへの汚水。製造プロセスは二次汚染のリスクがないものであること。
•汚染を発生させない原材料、製品受け渡しの手順が設計されており、そのための場所があること、また、輸送車の駐車スペースがあること。
•周辺環境は、汚染、汚物、有害生物の溜まり場でないこと。たとえば、ネズミの巣、鳥が巣を作りやすい大樹、虫を誘引する光などがないこと。製造棟は街灯、くさむら、樹木から30フィート以上離すことを推奨1。
•出入口の設計は、外部の人の侵入や食品テロ(が防止できるものとし、また、出入り時の検査の方針を保有しなければならない。
•微生物の成長を防止できる適切な温度の規定・管理をすること。
•従業員の衛生にとって十分なスペースがあること。たとえば、トイレ、更衣室、靴脱ぎ場、備品置き場などが仕切られていること。
•製造エリアの清掃・消毒の計画があること。また、文書で記録すること。
空気、温度、有害生物(ネズミ、鳥、虫など)、煙、匂いなどの汚染又は出入りの可能性のある出入口、開放口に注意すること。製造エリアへの出入口は、環境による汚染のリスク低減のためのテクノロジーを導入してもよい(続きを読む)
»器具・機械に注意(Focus on machine & equipment)
食品に接触する用具、器具、機械は安全で、化学物質や汚染物質を食品に拡散させることのないものでなければなりません。また、製造状態への耐性(耐酸性、耐熱性など)があり、洗浄や消毒が可能なように設計されなければなりません。表面は、汚れや病原菌が入り込んだり堆積したりするような凹凸がないようにします。さらに、高リスクエリア用、アレルゲン用、床清掃用などリスクエリア毎に器具や用具のカラーコードを定めることもできます。この場合、色は食品とは明らかに違うものとし、食品への汚染リスクを低減します。現在では、金属検知が可能な手袋など用具に金属粉を混ぜることにより、金属検知器で製品への汚染を検知できるようにしていることもあります。
»適切な製造プロセスの確保(Ensuring good process)
製造プロセスは食品安全の要となります。したがって、消費者にとって安全な製品を獲得できるよう、衛生基準に従った食品製造プロセスを確保する必要があります。
•原材料及び水は清潔であること。不純物や化学物質、望ましくない微生物がないこと。原材料及び水の選択、仕様の規定、検査は清潔基準に従うものとしなければならない。また、使用前の原材料保管についても設計する。
•二次汚染防止のため、生の状態から加熱した状態まで一貫したプロセスがあること。
•微生物量低減のための製造プロセス。たとえば、洗浄、酸度調整、水分活性の管理、加熱など。所定の製造プロセスを実現するための計画策定、危機要因の規定、及び管理・監視が行われなければならず、消毒の妥当性確認のための証明書類がなければならず、文書で記録しなければならない。
»廃棄物管理の規定(Waste management)
2022年6月のITO Thailandによる食品工場の清潔さに関するアンケート調査の結果、ゴミ問題を挙げた人は36.7%、汚水による公害の問題を挙げた人は33.5%に上りました(サンプル集団292人中)。これらは食品製造工場でよく見られる大きな問題で、製造プロセスにおける従業員の健康へのリスク、製品の汚染のリスクのあるものです。したがって、廃棄物管理の方法を規定するための計画が必要となります。たとえば、ゴミの収集容器を密閉型にして製造場所から離すよう規定し、臭いや微生物、有害生物を防止したり、十分な大きさと傾斜のある排水管を設計し、高リスクエリアから低リスクエリアへ流れるようにしたり、環境への排出をする前に汚水を処理したりするなどとなります。また、系統的な廃棄物管理設備の維持計画も必要となります。
»従業員の衛生が重要(Personal hygiene caring)
製造プロセスにおいては、従業員も製造プロセスに髪の毛、着衣に付着した埃、靴の汚れといった汚染を媒介する可能性がありますから、重要事項となります(さらに詳しく)。したがって、衛生を強化できるよう、手洗い場、抜け毛ローラー、髪を覆う帽子、スモック、エプロン、靴などの十分なファシリティを設計しなければなりません。また、器具を常時清潔にしておくことも必要です。さらに、管理のためのルールも定め、知識提供のための研修を行い、安全な食文化の推進について組織内での意識構築をしていきます。
ITO Thailandでは、従業員による汚染のリスクを低減し、食品工場の製造効率向上と安全基準向上を図ることができるよう、埃と髪の毛を取る掃除機、身体や靴に付着した汚れを取るウレタンシート、自動靴洗浄装置、エアシャワー、など、製造プロセスでの従業員の衛生を強化するための装置をご紹介しています。
お問い合わせ 食品工場の清潔基準を向上させるテクノロジーに関するご相談を承っております。
References
1.Ronald H. Schmidt & Daniel J. Erickson. 2005. Sanitary Design and Construction of Food Processing and Handling Facilities. IFAS Extension. University of Florida.
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